その日、引き出しの中を探っていた私が、見付けたのは、「鉄道荷札」と書かれた、針金付きの紙製タグ。
そういえば、ずっとずっと、ずうっと昔、私が幼かった頃、おじいちゃんが、これを荷物に、くくり付けていたような記憶が、、、うっすらと在る。
(余ったものを、ただ使っていただけの気もするけど!)
届け先の欄には、「どこ線」の「どこ駅」かを記入して、住所と宛名を書くようになっている上、敬称は、「殿」。
一枚のタグのあらゆる箇所に、当時の暮らしを匂わせているのが、たまらなく良い。
人と人の間にある、旅する荷物の物語。
過去の証人たちは、ストーリーを纏っていて、そして、愛おしい。
こんな風に、骨董になっていく時代のことを、そっと、教えてくれる。
それが、なんとも、奥ゆかしい。