『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』

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もし、私が90歳を越える年齢までこの世に居たとして、こんなインタビューを受けたなら、
教科書に載ってるほどの歴史的事件を自分の思い出のひとつとして、
さらりと語れてしまうのだろうか?
「私と話した数分後、ガンジーは暗殺されたんだ。」と彼が口にする類いの。

『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』は、
20世紀最大の天才写真家と称されるアンリ・カルティエ=ブレッソンが、
その半生と作品について語ったドキュメンタリィフィルム。
映画は当時93歳の彼自身と、親交のあった写真家や劇作家たちのインタビューで構成されている。

穏やかで生き生きした言葉が、じんわりと染みこんでくる。
あぁ、なんておもしろいじいさんに、出会ったんだろう、そんな第一印象。
ただし、そこには、もちろん心からの尊敬を込めて。

彼の撮った、すべての写真は、嘘のように完璧に美しい構図を持っている。
決定的瞬間のために、じっと待って、待って、待つ。
瞬時に選んで、そして撮る。
独自の美的感覚で、切り取られた空間からは、
あたたかいものがにじみだしていて、自然と涙がこみ上げた。
鋭い洞察力と、純粋な遊び心。
日常の全瞬間に、記憶しておこうと思った。
「写真を撮るために、生きているのではなく、生きているから、写真を撮るのです。」
すばらしい。
「写真は短刀のひとつき。絵画は瞑想。」
降参。
彼は、本物の芸術家。
見事な遺言。

[Henri Cartier-Bresson]
1908年、フランスのセーヌ=マルヌ県シャトーの中流家庭に生まれる。
1947年、ロバート・キャパらとともに、写真家集団“マグナム”を設立し、スペイン内戦前夜やパリ解放、
ガンジーの死などの歴史的瞬間を撮影して報道写真の先駆者としての名声を高めた。
その一方で、1952年に発表した写真集『決定的瞬間』で独自の写真美学を打ち出し、
世界中の写真家に影響を与えた。
2004年8月、95歳で死去。

『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』→公式HP
Commented by haL at 2006-07-03 11:52 x
こっちにももうすぐ来るんだよ。たしか。
キャパの「Capa in Color」を見に行ったときに宣伝してたから。
学生のときにも見にいったけど、
またそのときとは違う感じ方をするかもしれないね。
楽しみです。
Commented by makisaegusa at 2006-07-03 16:58
>haL

ほんとに貴重なフィルムって感じがしたよ。
あんなじいさんになりたいなぁ。
ばあさん。
Commented by deta. at 2006-07-06 21:35 x
Henri Cartier-Bresson僕も好きです。
ファッションポートレート等も好きですが
また違う魅力がありますよね。
Commented by makisaegusa at 2006-07-07 01:41
>deta.

やっぱね、人柄って表れるんだなーーって、フィルムを見て思ったよ。
見てね、、、映画。
いいじいさーーーーん。
ハートッ☆てなるよ。
さらりと、収容所から脱走のこととか語っちゃう、、、
すごいおひと。
さまざまの意でもって。
by makisaegusa | 2006-07-02 21:12 | Recommend-トテモステキ | Trackback | Comments(4)